あんこの開墾日記

自分自身を耕して、掘り起こして、本当にしあわせな私のありかたを発見したい。そんな想いで書いてます。

人との壁

小学生のころから私たちはこんな風に教えられて育ちます。

「みんなと仲良くしましょう」

「差別をしないようにしましょう」

でもこれを本当にできる人っていないと思います。聞こえがいい言葉達ですが、実際に世の中はそんなにきれいじゃない。しかしながら、それを割り切ってしまっていていいのか。そんな難しさを痛感している最近です。

 

苦手な人とは関わらない

上手に人と関わるうえで、私が体得してきた方法はこれに尽きます。基本的に私は友人関係で問題が起こったことは一度もなく、とっても穏やかな学生生活を過ごしてこれたと思っています。それは自分の中でこの信条を忠実に守ってきたから。

人類みんなと仲良くなんて、できない。世の中にはたくさんの人がいて、自分の価値観と合う人も合わない人も当然いる。だったら自分と価値観とか間合いとかが合う人とだけ一緒に過ごしていれば問題は起きないじゃん。そっちの方がみんなと仲良くする努力をするよりも、よっぽど軋轢が生まれることなく幸せな世の中じゃん。

そのため出来るだけ自分と合いそうな人と一緒にいるようにして、合わなそうな人とはある程度の距離を取るようにして、自分の世界を、居心地のいいように囲って生活してきました。誰かと衝突を起こすこともなく、自分が大きく傷つくとこもなく、平穏な日常を過ごしてこれました。

 

この考えは、恥ずかしながら障害を持つ人や精神的な病気を抱えている人に対しても同じようなことを考えていて。小学生の時、クラスに障害を持つ子がいた経験があって、クラスの一部の子はそこの子サポートを買って出ていて、一部の子はちょっと煙たい顔して見ていて、私はその中間。無関心なわけじゃないけど、基本的に関わらなかった、いや関われなかったという方が正解かもしれないですね。私はその子に対してどのように接したらいいかわからなくて、わからないまま時間は過ぎていっていました。

 

線引きを超えられない

しかしながら最近本当にこれでよかったのだろうかという疑問を持つようになりました。これはこんな出来事から。

最近アルバイトで行く農家さんのところで、福祉施設に通っている人と一緒に仕事をすることがあります。私の人生の中で今まで一度も関わったことのない人たちばかり。今自分が住んでいる世界が、世の中のあらゆるものから断絶されているかということを思い知りました。それとともに、自分はいろんな人と関わる努力を怠ってきたのだという現実を見せつけられた気持ちになりました。今までそうした人たちと自分をどこか無意識に線引きして、他人事のように思っていたのだと思います。同じ世界に住む人なのに。

彼らとは1日5時間くらい一緒に働きます。昼食の1時間は私と施設の職員さんと彼ら(日によるけど3~5人くらい)でお弁当を食べながら過ごします。こんなに長い時間一緒の空間にいるのに、私はどんな会話をしていいのかわからず、黙りこくってしまいます。きっと同じ大学生と一緒に昼休みを1時間過ごしていたらいろんな話ができると思うんです。「出身はどこなの?」「他にサークルやってるの?」「どんな勉強してるの?」みたいな。でも彼らを目の前にして、私はどんな話題を振るのが適切なのか、どんな話は苦手で、どんな話ならスムーズに会話が出来るのかが全く見当がつきません。もしくはそもそも会話をしたいのか、したくないのかすら判断できません。

 

今困っているのは、きっと今までこんな状況に立たされたことがなかったから。もっと言うと、自分からそういう状況になることを避けていたからなのかもしれません。

そしてこの無意識の線引きが、この世の中の断絶を生んでしまっているんじゃないかと思いました。自分と違う人、合わなそうな人とは出来るだけ距離を取る。それはとても楽な生き方かもしれない。葛藤が生まれることもなく、平穏に過ごせるのかもしれない。でもどこかに歪みを生んでいる可能性は十分にある。

 

自分だっていつどうなるかわからない

こんな最近のモヤモヤした感情を、この前初めて友人に話してみました。

 

「でも自分たちだって、いつどんな病気になるかなんてわからないよね。」

 

そんなところまで私は考えが至っていなかったなぁと素直に反省しました。私は今自分か感じてる問題意識にしか集中できていなくて、もっと違う視点から物事を見るということを出来ていなかったなという瞬間でした。

友人はその後も、「それだからこそ、きっとそういう人の雇用が保証される仕組みづくりが大事なんだろうね」とか、「大事ってみんな分かっているけどそれを実行しているそこの農家さんってすごいところだよねやっぱり」なんていう話をしていました。悔しいけど、私は頷くことしかできなかった。

 友人が言う通り、自分にいつどんなものが降りかかってくるかなんてわかりません。私が無意識に作っていた壁を、自分が相手から感じる時が来るかもしれない。そんなことないとは言い切れない。

 

だったら今自分が出来ることってなんだろうか。

自分が作っている壁を、少しずつ超えていくことなんだろうか。そんな簡単な解決方法(実践するのは難しいですが)でこのモヤモヤを片付けてしまっていいのだろうか。

一気に壁を取り払うことは出来ない。でも少しずつ歩み寄ってみることは、出来るのかもしれない。例えば私の事例を取って言えば、同じ職場の彼らにちょっと話しかけてみるとか、今までちゃんと話したことはなかったけど苦手意識を感じていた人とちょっと雑談してみるとか。

「私と違う」「きっと仲良くなれない」って割り切るのは簡単で、歩み寄るのは不安定をもたらすかもしれないけど、それでもそっちの人間関係の方が豊かかもしれない。もっとひとりひとりと向き合える、心優しい人間になれるかもしれない。