あんこの開墾日記

自分自身を耕して、掘り起こして、本当にしあわせな私のありかたを発見したい。そんな想いで書いてます。

畑を始めたい(後編)

 

 

前回は私が「食」の分野に行きつくまでを、書いていました。

この回では、そこから「農業」にも興味を持つようになった経緯を記していきたいと思います。

 

 

農業との出会い

私の農業との出会いはある先輩と知り合ったことから始まりました。

その方はフードロスにとても関心を持っている方で、お互いに興味のあることをお話しているうちに、その方が最近始めたつくばの農業サークルについてのお話をしてくださいました。

 

このサークルというか学生団体が、少し面白い仕組みを持っています。

ただ自分たちで畑をもって作物を栽培・収穫するのではなく、つくばで農業を営む農家さんのところに行って、作業のお手伝いをするという団体なのです。

しかも、それに対して農家さんからしっかりお給料もいただけるんです。

 

私は何度も言うように「食」に対してとても興味があり、今まで見たことのない「食」の現場を見たいみたいという想いと、単純にアルバイトを探していたので、その団体で農業というものに関わることにしました。

 

 

自分は何も知らない

 

そうして踏み出した農業の世界には、はじめてみるもの、はじめてしるものばかりでした。

毎回畑に行くたびに、目に映るものすべてが新鮮で、本当に楽しい。

 

自分がどれくらい農業を知らなかったかというと、

 

マルチってなに?

軽トラの荷台は気持ちいい!

オクラがさかさまに生えてる!

落花生って名前のままの育ち方してる!

キュウリの成長するスピードが尋常じゃない!

 

みたいな感じで、毎回たくさんの「びっくり」に出会えるのです。

 

その中でも私の中のびっくり2トップを紹介します。

 

 

①白菜は最初から球形ではない

 

私たちがスーパーで買う葉物野菜(キャベツ、レタス、白菜など)って苗の間は葉っぱが開いた状態なんですよね。例えて言うとタンポポみたいな広がり方をしている。

それがいつの間にか球形になっているのが摩訶不思議ですよね。

白菜なんかは一個一個頭の方をひもで結んで開かないようにして、寒さ対策をしているらしいのですが。

 

②畑に生えているネギと私がいつも買うネギは一緒

 

私の地元にもネギ畑はありました。でもネギって畑に生えてるときは緑の部分しか見えないですよね。だから私はずっと、地元のネギ畑では白い部分があるネギは育ててないんだと思っていました。

 

でもあの緑を引っこ抜いたら、ちゃんと白が顔を見せるんですね!

本当にこの事実を知った時の衝撃と言ったら!

 

 

おひさま、あおぞら、かぜ、ことり、そしてカエル

 

 

私が農業に惹かれている理由は多分ここにもあると思います。

大学に入学してはや1年弱。それまでほとんど触ったことのなかったPCに毎日触り、メッセージやSNSの情報収集、レポートに時間を割く日々。

googlefacebookもとっても便利。

いつでも私の得たい情報を得たいときに届けてくれる。

 

でもその便利に身を任せすぎて、時間を割きすぎている自分がいる。

それに気づいているのに、どうしてもやめられない自分がいる。

どんどん「人間らしさ」みたいなものから離れている自分がいる。

 

そう感じ始めた矢先に出会ったのが農業でした。

 

朝日に目を奪われながら自転車をこぎ、

青空のもとで風を感じ、

夏には全身びっしょり汗をかいてなすをもぎ取り、

冬には足を凍らせながらニンジンを引っこ抜き、

気づけば隣で小鳥がてこてこ歩いて、

鍬で土を耕した先にカエルが冬眠していて、

夕焼けを背中に浴びて再び自転車をこぐ。

 

 

 

たくさんの「生きてる」を感じる。

これこそが自分が人生に求めていることなんじゃないかと考えるようになりました。

 

 迷った、本を読んだ

 

でもこの日々がこれから先、何十年も続くことに自分は耐えられるのだろうか?

そんな疑問ももちろんあります。

 

高校三年生の12月。

周りより一足早く受験が終わり、この一年間、本当にたくさんの人と出会うことができました。

それもみなさん成長意欲の高い人ばかり。

こうした人の存在をもう知ってしまっているから、今更そんなのんびりした世界に身を置いて焦ることになるんじゃないか。

そんな不安を感じていました。

 

そこで、本を読むことにしました。

新規就農をして、そこからいろいろな事業を拡大させた方の本を読むと、

「農業ってめちゃめちゃ可能性のある分野じゃん!というかそもそも知識0経験0の状態から、畑やること自体がめちゃめちゃ挑戦じゃん!」

という事に気づきました。

 

農業を始めるという事、畑を持つという事、それは私にとって大きな挑戦なのであり、日本で若者が新規就農をするというのは社会的にも大きな価値があるのではないかという風に考えることができるようになったのです。

 

 

筑波大学に行って農業はもったいない?

バイト先の人に「畑ほしいんですよね」という夢を語ってみました。

そうしたら返ってきた答えが「えー、筑波大学って国立の4年制大学でしょ?そんな人が卒業後に農業やるんなんてもったいないよ」でした。

 

 

悲しい。

やっぱり日本の社会の見方ってそうなってしまうんだ。

いい大学に行って、いい就職先で働いて、それこそがいい暮らし。

そんな考えを持つ人が日本にはまだまだたくさんいる。

 

自分の周りにはそう思っている人があまりいなかった分、この意見を聞いたとき、

「そういえば、日本人の考え方ってこっちの方が主流だったな」という事を思い出しました。

 

 

 

 確かに、大学をちゃんと卒業して、給与の高いところに就職して、暮らしていくことを選択できる立場に私はあるかもしれない。

その選択肢を持つ私は、恵まれているのかもしれない。

その選択肢を自ら放棄することは、「他の人からすると」もったいないことなのかもしれない。

 

 

でもその選択肢を放棄することは「私にとって」もったいないことなのか。

 

 

 結局はじめてみないとわからない

 

そんなことを考えていると、よくわからなくなってきました。

でも確実に言えることは、私は「今」農業をやってみたくて、その環境が「今」ある。

だったら、とりあえずやってみるしかない。

 

それでまた「やっぱり自分がやりたいことはこれじゃない」となるかもしれないし、「これから本気で農業で生きていきたい」となるかもしれない。

 

自分の気持ちを確かめるために、はじめてみようと思います。