あんこの開墾日記

自分自身を耕して、掘り起こして、本当にしあわせな私のありかたを発見したい。そんな想いで書いてます。

「現場」に本気。

というタイトルで、つくば学生農業ヘルパー(通称:農ヘル)の代表が農林漁業アワードのファイナリストの舞台でプレゼンをしました。結果は惜しくもアワードを逃してしまいましたが、私にとって非常に考えさせられるプレゼンとなりました。

 

そもそも農ヘルってどんなことしてるの?

私はいろんな人から「サークルとかバイトは何してるの?」と聞かれるたびに「農業しているんですよー」とニコニコしながら答えます。しかしながら、私が所属している農ヘルってどんなことをしているのか、今まであまりちゃんと人に説明してきたことがないように思われます。なので、このプレゼンで考えたことを書く前に、ちょこっとだけ農ヘルの説明を。

農ヘルは筑波大学内の有志の学生団体で、アルバイト兼サークル、みたいな独特のポジションです。農ヘルという団体自体が14の農家さんと契約していて、ほとんど毎日のように農家さんからの派遣依頼はあるので、基本的にメンバーは行きたいときに畑に行くことが出来ます。でも行ったからには8時から17時、1時間昼休憩をはさんでしっかり8時間あくせく働きます。(ちなみに今週は金土日の3連勤です)そうしたシフトの調整(農家さんから依頼を受けて、人数を調整して、学生に指示する)は団体の代表さんがやってくれています。そして大きなポイントがボランティアではなくちゃんとお給料をもらうことが出来ます。

 

この仕組みのすごいところ

たくさんありすぎて言い尽くせないのですが、1つ目はちゃんとWIN-WINの関係が築けていること。農業やってみたいとかアルバイトに入りたい学生と、人手が欲しい農家さんとの需要と供給がちゃんとマッチしていることです。学生は産業としての「農業」、つまりは現場の「農業」に触れることが出来る、触れるというよりもそうした産業の一端を担うことが出来ます。農家さんは欲しいときに若い労働力に頼れることです。一般的に研修生という制度が農業界にありますが、研修生は一定期間研修を終えたら、独立するなり実家を継ぐなりして研修先の農家のもとを離れていってしまいます。ですがこの団体は学生が卒業していってしまっても、年度が替わればまた新しいメンバーが入ってきてくれるので、安定的に人手を確保することが出来ます。しかも作業に来る学生は全くのド素人ではなく、ある程度農業の知識や経験そして興味のある若者たち。これは農家さんにとっても大きなメリットになっていると思うんです。

2つ目はいろんな農業を体験できること。つくば市の農業は多種多様です。少量多種栽培、ハウス栽培、露地栽培、有機栽培、慣行栽培、個人経営、法人経営、機械化、手作業、稲作…農業の在り方は本当にたくさんあります。ある一つの農家さんのところだけに行っていたら、他の農業を知ることは出来ないし、「農業を知る」という観点でいえば、この仕組みに勝るものをないんじゃないかなと思っています。

3つ目は日常に農業を取り入れることができる点です。正直、私は農業に無給のボランティアとしてこれほどの時間を労力を割ける自信はありません。大学生、時間はあるとはいえそんなにお金はありません。でも農ヘルなら自分の好きなことをやりながら(私の場合、ではありますが)ちゃんとお金を稼げるんです。それだから頻繁に畑に行くことが出来るんです。

 

 

食と農林漁業大学生アワード発表を聞いて

11月2.3日に食と農林漁業大学生アワードというイベントが開催されました。全国から書類審査を勝ち上がってきた、第一次産業に関わる5つのサークルや学生団体が集結し、自らの団体についてプレゼンをするというものです。私は登壇者ではありませんでしたが、農ヘルの補助役としてリハーサルから本番までをサポートさせていただきました。

全国各地で活動しているいろいろな農業系サークルの発表は、面白そうな活動内容ばかりで、聞いているだけで楽しいものでした。農業をビジネスの観点から見てマネタイズする、いろんな農村に出向いてボランティア活動をしたり地域活性のお手伝いをする、自分たちで田んぼを持って稲作をする、自分たちで豚を肥育して出荷して食べるところまでをやってみる、こどもたちに食育の授業をやってみる。どれも違った角度から、自分たちの視点を大切にして、活動に携わっていることが良く伝わってくる発表内容でした。

これまで農業ヘルパーとして、他の第一次産業に関わる学生の話を聞いたり交流する機会が全くなかったため、会場では気づかされることがたくさんありました。大学生という立場でこんなに地域の人と密接なかかわりあいが出来るんだとか、私も食育の授業とかやってみたいとか、こんなどろどろになるようなきつい作業で感想として「楽しい」が真っ先に来るんだなとか、本当にいろんなことを考えました。でもそれよりなにより、一番思ったのが「私たちが一番本気だ」ということ。(他の団体に喧嘩を売っているつもりはありません。素直な感想であるためお許しください)

 

 

「本気」だったんだ

この会に参加して、初めて「私、農ヘルに対して本気だったんだぁ」ということに気づきました。それはリハーサルでプレゼンの内容を詰めたり、そのあとのこのイベント参加者の懇親会で話したり、当日各団体の発表を聞いたりしている中で。今までずっと、私の中の農ヘルの立ち位置って「ただのアルバイト」とつもりだったのですが、本当はもっともっと重い意味を持っていたんだということを初めて自覚することが出来ました。

リハーサルと本番の2日間でずっと胸に抱いていたのは「私たちは農家さんの片腕としてプロ意識を持ってやっているんだぞ」という誇り。そんな団体、他にはないんです。私たちだけのユニークな取り組みなんです。お金をいただくというのはそれに見合った価値を相手に提供できているということ。ボランティアとしてではなく有償で農業に関わるということは、責任を持って農家さんの仕事をサポートするということ。だからどんなにきつい作業でも、農家さんの前では大丈夫なふりをするし、農家さんが少しでも楽になるように効率の良さを常に考える。私の中で農業の入り口は「楽しい」よりも先に「本気」が来ていたんだということ。

そうした誇りを持って「本気」で私は「農業」に関わってきたんだ今まで。そしてこれからも。