あんこの開墾日記

自分自身を耕して、掘り起こして、本当にしあわせな私のありかたを発見したい。そんな想いで書いてます。

農業に浸る9日間

去年の7月から「農業ヘルパー」という大学の学生団体で、農家さんのお仕事ののお手伝いをしています。もともと農業とは縁もゆかりもなかった私ですが、作業をしていくうちにどっぷりと農業の世界にはまっております。この連休中はなんと5連勤+1休み+4連勤というタイトなスケジュールで働いていました。

 

この連勤中に考えたことや、約1年間真剣に農業を向き合って、今思うことを言葉にしていきたいと思います。

 

天気に1日のやる気を決められる

約1年間、ヘルパーをやってきて

ポッカポカの陽気の時も、

心地よい風吹く時も、

倒れるんじゃないかっていうくらいの猛暑の時も、

手足が凍る寒さの時も、

風が強くて目も開けられないような時も、

急に天気が崩れてびしょねれになった時も、

雪がしんしん降り積もる時も、

畑で作業しました。

 

基本的には私は外で風を感じていたいので、外作業が好きなのですが(ぽかぽか陽気の日は最高!)、雨の日とか寒い日とかはかなり気持ちが萎えてしまいます。

でもこうして天気に色々を左右される生活って悪くないなと感じるのです。

この生活って「生きてる」ことを体で感じられるなぁと思うのです。個人的にはこの「生きてる」という感覚を大切にして生きていきたいと思っているので、だから農業という分野を好きでいられるのかなと思います。

 

生き物相手

世の中は連休ですが、農家さんに連休は存在しません。

それは生き物を相手にした仕事だから。

特に今の時期は田植えや種まき、定植、春野菜の収穫など大忙し。休んでしまうといつの間にか種まきなどの時期を逃してしまうし、野菜も育ちすぎてしまう。そのため、この時期から冬に入る直前まで休む日は冠婚葬祭の時くらいだとか。

 

また農業に関わるまでは直接作物に触れることが作業内容の大半を占めていると勝手に想像していたのですが、実際はそうでもないことがわかってきました。どちらかと言えば、作物を守るための装備を設置したり解体したりする作業の方が多い感じがします。こうした作業ってそんなに楽しいものではないけれど(むしろ辛いものの方が多い)、でも農業する上でとても大切な作業です。作物には直接触れないけど、実はこうした細やかな作物への配慮こそがおいしい野菜を作っているんですよね。

 

 

確かにしんどい

私にとって農業に携わっている時間はとても幸せですが、もちろんいいことばかりではありません。

 

この連勤中、ひどい肩こりや腰痛に悩まされていました。

帰ってから疲れすぎて何も手につかなくなってしまいます。

全身どろどろだし、着ていた服は手洗いしないと落ちやしないです。

日焼けしすぎて家族には笑われます。

 

おそらく私が素人であるため、体の使い方が下手なのだろうと思うのですが、それにしても身体的な負担はとても大きいです。そのうえ作業時間も長いし、自然の影響を直接受けるため、体力をかなり消耗する仕事であることをこの連勤を通して改めて体感しました。

 

 

 

「収穫の喜び」から「全部を見れる喜び」に

はじめてヘルパーに入ったばかりのころは、夏野菜の収穫がメインだったのであまりほかの作業をやることがありませんでした。

しかし1年を通してヘルパーのお仕事をやってきて、いろいろな作業を経験させていただきました。

収穫はもちろん、定植、種まき、ハウスの設置、脇芽取り、トンネルの設置や解体、雑草取り、マルチ張り、機械補助、過剰生産の廃棄、袋詰め、、、

何もなかった畑に種や苗を植えて、トンネルを張って、草刈とか脇芽取りとかの手入れをして、気が付いたら実がなっていて、その次見に来た時には出荷されるくらいの大きさになっていて。

 

初めのころは

「自分が普段食べている野菜ってこんな感じで生えているんだ!知らなかったなぁ」

という、普段食べているものがお皿の上にあるのではなくて、土の上に生きた状態で生えているという事実にただただ感動していたのを覚えています。

 

しかし自分が携わる作業が増え、農家さんとお話する機会も増え、

「野菜を育てるためにこの作業が必要なんだ」

「この種からあの野菜が育つのか」

「効率的にこの作業をするには、そうやって体を使えばいいのか」

「これまでの農業にはこんな歴史があって、今農業が抱えている問題にはこんなものがあるんだ」

というような、さらに農業の深い部分に触れられるようになってきました。

 

この体験って、きっと家庭菜園とか自分の畑だけじゃできないものだと思います。

野菜作りのプロが目の前で仕事をしていて、それを一番近くで見ることができる。技を盗むことができる。とても貴重な体験をさせていただいていると常々感じています。

 

 

この光景を想像して食べている人はどれほどいるか

この連休中、一番お世話になったトマト農家さんがお話していたことです。

「直売所の試食を食べる人ほど買っていかないんだよね。食べるだけ食べて。そういう人って、このトマトたちがどんなふうに育てられているか想像できていないんだよね。こういう風に汗水たらして働いてこのトマトが作られているということが想像できないんだよね。」

 

このお話の最中、私はとっても耳が痛かったです。

私自身がつい最近までそういう消費者だったから。自分が食べているものがどんなふうに作られているかなんて、想像できていなかった。

私の他にもきっとたくさんいると思います。生産しているところを想像できていない人。それだから野菜が安く買いたたかれたり、イベントの時のそのイベントの関する食品の供給過多で対象の廃棄が出てしまったりするのではないでしょうか。食べ物がこんなにも大切に育てられているということを知っていれば、きっとそんな扱いにはならないはず。

でもその事実に気づくきっかけがないのも現実です。幼いころに自分が住んでいた地域ではほとんど畑を見ることも、農家の方と触れ合うこともありませんでした。このような生産者と消費者を断絶している壁をどう取り除くかが今後自分がやっていきたいことなのかもと最近思い始めています。

 

 

 

 

おわりに

大学に入ってまさか農業に携わるなんて高校生のころにはこれっぽちも考えていなかったのですが、気づいたらどっぷりとこの世界に浸かっています。自然の中で生きていくのはとても楽しいし、自分が普段食べているものがどんなふうに作られているのかを見ているのは純粋に好奇心がくすぐられる。体力的に厳しい部分も確かにあるけれど、それを上回る「しあわせ」がそこには存在する。

この文章ではいろいろわかったように書いていますが、私はまだまだ農業のこと全然わかっていないと思います。だから私はこの世界をもっと見てみたいから、これからも農業を続けていくと思います。