あんこの開墾日記

自分自身を耕して、掘り起こして、本当にしあわせな私のありかたを発見したい。そんな想いで書いてます。

島キッチンにて

私は一番野菜のおいしさを感じられる立場にあると思う。

 

豊島にある「島キッチン」お店でランチを食べた。瀬戸内芸術祭の展示の一つでもある島キッチンは古民家を改修した趣のある建物で、豊島に住む人たちが育てた野菜を島の人が調理して食べられる場所だ。期間中は人気で席が埋まることの多いためWebで予約した方が安心できる。(私たちはそんなことも知らずに行ったんだけど)

 

姉はそのカレーを口に入れた瞬間、「明るい味がする」と呟いた。なるほど。明るい味だ。カレーと言えどもそんなに辛くない。きっとトマトも甘さなんだろう。明るい味、太陽の味、そんな表現がよく似合うカレーだった。カレーと一緒にいろんな小鉢が運ばれてくる。何だったか忘れてしまったけど、汁ものにモロヘイヤを入れるとか切り干し大根の酢の物とか普段使わない食材をあまりやらない調理法で調理していて、食べ方の多様性というのを改めて感じた。

 

店内を見回す。古い建物ではあるけれども「ぼろぼろ」というよりも「使い込まれている」という言葉がよく似合う。目の前で料理ができていく過程を見ることが出来る。大忙しだけど充実している様子だ。この島で作った野菜というのがメッセージとして伝わってくる。島の野菜を知ってもらうために工夫がみられる。お客さんが楽しそうに食事をしている。「いい場所なんだ」というのが一目でわかる。

 

ここの食事のメニューはたったの2種類。現代って選択肢が多いことが良しとされて、選択肢が少ないことが悪とされているような感じがするけど、そんなこともない気がする。メニューの選択肢なんて少なくていいんじゃないかな。少なければ一つ一つをちゃんとおいしく作れると思うから。そっちの方が作り手も食べ手もしあわせなんじゃないかな。

 

本当においしいものに1年じゅう囲まれている人(農家さんとか一部のお金持ちにの人とか)はおいしいことに慣れてしまっているため、おいしいことに気づくのは難しい。

食べることに重点を置いていない人は、おいしいものに興味がないため、おいしいに出会うことが難しい。

私はそのどちらでもない。(もしかしたら前者よりかもしれないけど)おいしい野菜も食べるし、ちょっと背伸びして島キッチンのようなお店に行くこともあるし、自分が作ってしまった失敗料理を悲しい思いをしながら食べることもあるし、どうしても時間がないくてコンビニのパンを貪ることもある。おいしいものもおいしくないものもどちらも食べる。だからこそ「これはおいしい」というのがちゃんとわかる。そんな舌を持ててよかったなぁと思う。