こども食堂での日々
あれから1年
高校1年生の4月から3年日記をつけ始めて、今年で5年目となりました。
3年日記をつけていると、去年のこの時期自分がどんなことをしていたか、何を考えていたのかというのが思い出されます。
昨年のこの時期、私は初めてこども食堂のボランティアに行きました。
その日の前日、子どもたちはどんな感じかな?どんな料理を作っているのかな?私はちゃんとお役に立てるのかな?などなど心配なことが多かったのを覚えています。
しかし行ってみると、そんな心配は必要ありませんでした。
こどもたちは楽しそうで、料理もおいしくて、私でも出来ることはたくさんあって、もっと言うといろんな料理を教えてもらったり、いろんな世代の方のお話がきけたり、あまりものをいただけたりと、いいこと尽くし。行き始めてから一年経った今、あの時いって本当によかったなぁと思っています。
1日の流れ
私の行くこども食堂は第1第3水曜日に開かれます。
3時ごろからボランティアの方々が集まり始め、調理の準備を始めます。
野菜を切ったり、茹でたり、お菓子の材料を混ぜたり、ご飯を炊いたり。
そして5時ごろ、「やばいやばい、そろそろ味付けしないと間に合わまいぞー」とか言いながら調理のラストスパートをかけます。
5時半、盛り付け開始。来た人から順に出来立ての料理を提供します。
6時半、大盛況!60、70人くらいのこどもたち、親御さん、地域の方々が集まってきて建物内はてんやわんや。子供たちのはしゃぐ声、お母さん方がおしゃべりする声、ボランティアが笑っている声。いろんな声がこだまして、とってもあったかくて心地よい場所となります。
7時がラストオーダー。そのあと私たちの戦場のような皿洗いが始まります。そうしているうちに、子どもたちはお家に帰っていきます。
8時、やっとひと息ついて座って時計を見たらこの時間。あっという間の5時間です。
そこからまた何やら楽しい会話が始まります。「次回のメニューはどうしようか会議」です。みんなであれこれ言い合って、メインがこってりならサイドはさっぱりした方がいいとか、暑い時期だから涼しげなデザートにしようとか。
そして8時半ごろ解散となります。なんやかんやとお土産を持って。
大量調理の苦悩
大量調理はいつもの料理の感覚とは全然違います。
まず野菜を切っても切っても湧いて出てくる。それを炒めるとどっから出てくるんだ!って叫びたくなるくらいの水分が出てくる出てくる。すっごい量の調味料をドバドバ入れる。バター1箱とか、醤油丸々1本とか日常茶飯事。だから最後の味見がとっても重要。
後片付けも洗い場に入りきらないほどの大きなお鍋とかお釜とかをごしごしして、もはや力業って感じ。終わった時にはもうみんなへとへとです。
おいしいものを知っている
ここのボランティアの方々は本当においしいものを知っているなぁとつくづく感じます。
私はちょっと「この野菜どうやって食べるのがおいしいですか?」と尋ねると、みんな嬉しそうに答えてくれます。その食べ方を想像しただけで、「うわっ、絶対おいしいじゃん」と思います。次のメニューを決めるときもたくさん引き出しを持っているから、そんなお話を聞いているだけで楽しくなってしまします。
実際家に帰ってから何度か教えてもらったメニューを作ってみました。
やっぱり人から教えていただいたメニューってなんだか特別な感じがします。自分だとこの組み合わせは思いつかないし、ちょっとしたおいしくする工夫とかを教えていただけるのも、お料理修行中の私にとってはありがたい限りです。
これまでのベスト3
3位 メリークリスマス!
去年の12月の第3週目。盛大にクリスマスパーティーを開きました。
長い時間じっくり煮込んだビーフシチューとクリスマスリースをかたどったポテトサラダ。こどもたち一人一人にプレゼントを用意して、びっくりするほど大きいケーキを64等分して、みんな大喜び!楽しかったなぁ、、、
2位 ありえん数のエビたち
これはエビチリを作った時のことです。
もうこの先一生あの量のエビを目にすることはないと思います。(断言)
だって腕で抱えるような大きいボウルに山盛り4杯分、洗面器より二回りくらい大きいくらいの大きさのボウル山盛り2杯分のエビですよ。いやぁーあれは圧巻でした。
近所のむきエビを買いつつ、寄付してくれたものもありつつ、集めてみたらそんな量になっていたそうです。
下処理するのも炒めるのも本当に大変で。でも大変な分、おいしさも何倍にもなります。
1位 常陸牛の牛丼
初回のこの牛丼のおいしさが衝撃的で!
こども食堂ってこんなおいしいものつくってるの!?というかつくばに来てから一番おいしい料理だよこれ!!という、もう言葉にできないほどのおいしさでしたね。
そもそも上質なお肉をちゃんと下味付けて、おいしいたれを絡めて、あつあつのガス炊きごはんにのせたら、そりゃおいしくならないわけないですよね。
足りないひやひや 余るほくほく
大量調理の難しいところは、なんといっても量の調節です。
直前までどれくらいの人数が来るのか全く読めないため、いつもいつも作る量には悩みます。さらには最近、地域の広報誌の表紙を飾ってからというものの、以前にもましてたくさんのこどもたちや親御さんが来るようになったので、いつもいつもどれくらい作るか悩んでいます。
ボランティアの方々は口を揃えてこう言います。
「足りなくなるより、余った方が全然いい!」
過去に何度か足りなくなってしまったことがあるみたいで、その時のひやひやを味わうくらいなら大量に余った方全然いいのです。せっかく食べに来てくれた子供たちに悲しい思いはさせたくないし、せっかく来たならたくさんおかわりしてお腹いっぱいにして帰ってほしいから。
それと余ると私たちボランティアで山分けして持って帰るのもちょっとした楽しみになっています。毎回おいしい料理なのでボランティアの方々もみんな「今日は余らないかなー♪」なんてひそかに期待してます。
おわりに
私はこの空間が大好きです。
その理由はきっと、みんながちゃんと楽しんでいるから。
ボランティアしないといけない切迫感とかではなく、自分が料理をするのが好きでとか、子どもたちが好きでとか、そんなマインドで来ている人たちばかりだから。みんなが好きで集まっている場所ほど心地良い空間はないと思います。
これからもあの場所で、こどもたちの成長を見続けて、そうしたらいつの間にか3年とかいう月日が経っちゃうんだろうな。そうしている間に私の料理の腕もちょっとは上がるかな。
そんなことを思いながら、次回のガパオライスに胸を躍らせている。