はじめての田植え
ずっとやってみたかった
ずっとやってみたかった田植え。ついに小さな夢を叶えることができました。
本当は5月末に他の場所で田植えをする機会があったのですが、都合が合わず参加を見送り、ずっと心残りで今回偶然知り合いづてにこのイベントを知り、参加を即決。
この日をずっと待ちわびていました。
普段のアルバイトでは基本的には野菜のお世話しかしないため、お米の成長に携わるのはこれが初めて。
日本の食の基盤を作っているお米。お米離れが叫ばれていると言われてはいますが、なんだかんだで食べたら一番ほっとする食べ物と言えるのではないでしょうか。
そんなお米がどうやって作られているのか知らない私は、それが悔しかった。何とかして米作りの現場を見てみたかったし、あわよくば関わってみたかった。
どろどろ ひたひた ぬるぬる
皆さんの想像通り、田んぼの感触はどろどろでひたひたでぬるぬるでした。
おっかなびっくり足を踏み入れてみると、ずんずん沈んでいく。足を取られてバランス感覚を失い何度も倒れそうになりながら、必死に歩みを進めていく。田んぼの中はひんやりとちょっぴり冷たくて、なんとも言えない泥の感覚。
人によってはこの感覚が「懐かしい」と感じる方もいるかもしれません。
私にとってはこれが「初めて」。
幼いころ近所に畑や田んぼが少なかったというのもありますが、その要因以上に小さい頃の私は外で遊ぶのが嫌い、裸足で駆け回るのとかありえない、という少女だったので、今これだけ自然の中にいる生活を送っているのが不思議なくらいです。
どろどろってフシギ。入り始めは抵抗があるのに、慣れてくるとどんどん楽しくなって、後先のことどうでもよくなって、気づけば一人で微笑んでしまう。
この泥の魔力は田んぼの中に入ってみた人にしかわからない。
幸福な日曜日
田植えの後は参加者みんなでランチをいただきました。
2時間ほど作業をしてちょうどお腹がすいたころ、農園のご主人にとってもおしゃれでおいしいランチを振舞っていただきました。もともとご主人はシェフをしていたんだとか。どうりで出てくる料理が全部おいしいわけです。
シンプルな野菜のチーズ焼き、辛味の少ない新タマネギのサラダ、おばあちゃんの得意料理の焼きなす、梅山豚の人参ジャム添え、手打ちそば、古河市の郷土料理である鮒の甘露煮のアレンジ。
「おいしい」の要因としての「空間」もとても素敵な場所でした。
ビニールハウスの中にテーブルと椅子を設置して、天井にはブドウのツタが伸びていて、わきには小さいハンモックがちょこんと居座っている。
その人しか出すことができない味、この地でしか食べられない珍しい食材、そこにしかない空間。
「豊かだなぁ」
気が付くと、私の口からこんな言葉がこぼれていました。
心地よい天気の日曜日の昼下がりに、ちょっと体を動かして、お昼においしいもの食べて、たくさんの人とおしゃべりして、みんなとびきりの笑顔で。
みんなを包み込むあたたかな笑顔を持つご主人と、ほんわかしていて楽しく場を盛り上げてくれる奥さんと、元気いっぱいの息子さんが二人。
空が広くて、空気がきれいで、見渡す限り視界を遮るものがないこの地で、笑顔で暮らしている。
私もこんな暮らしをしたい。
農業をしていく暮らしにぼんやりと憧れを持っていた私ですが、実際にそのように暮らしている人々の姿を見て、その想いがさらに募りました。
体験農園への確信
田植えをしながら、はじめましての参加者の方ともたくさんお話をしました。
最初は田植えについて「え、すごい、ぬるぬる」「かえる!」「全然先に進めないね」
そして今日の話「なんでこのイベント知ったんですか?」「誰のお知り合いなんですか?」
だんだんと日頃の話「大学は?」「お仕事何しているんですか?」「サークルは?」
もう少し突っ込んだ話「それどんなことしてる団体なんですか?」「今度留学行くんだけどね…」
さっきまでよそよそしく顔色を窺っていたのに、一緒に田植えをしていると、どんどんどんどん話題が出てくる出てくる。
この感じいいよなぁ、と思わずにはいられませんでした。
みんなで自然の中で非日常の体験をして、どろどろの中戸惑いながらも作業して、いろんな話をしたり聞いたり。
農業を始めてから、「体験農園を作りたいな」と考えていたのですが、今日のこの光景を見て、実際に自分で体感して、確信に変わりました。
体験農園やったら、絶対楽しい。
農業に興味がない人にこそ、1回くらいは来てほしい。
もしかしたら人によっては楽しくないかもしれないけど、ドはまりする人もいるかもしれない。
私も実際、大学に入るまでは全く畑とは関係ない生活をしていたけど、始めてみたらいつの間にか楽しくなっていて、今では1週間の半分近くは畑に行く生活をしている。
それだから
小さい子にも来てほしい。
好奇心が旺盛な学生にも来てほしい。
仕事に疲れた社会人でもいい。
リタイアしたおじいちゃんおばあちゃんでもいい。
農業の世界に入る間口を誰に対してでも開けるようにしたい。
今まで食とか農業とかに興味を持っていなかった人が、意外と面白いじゃん!と思えるような場所を用意したい。
というのが、今回の大きな心の変化です。